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世界フィギュア選手権羽生結弦とネイサン・チェンとの差は?

2019年3月20日~24日に『さいたまスーパーアリーナ』でフィギュア世界選手権が行なわれました。

羽生結弦、宇野昌磨、ネイサン・チェンの三つ巴の戦いと思われましたが、圧巻の演技でネイサン・チェンの独壇場でした。

SPでは羽生結弦選手のミスもありましたが、FSで逆転出来るのではと期待していました。

しかし、さらに差が開く展開となりました。

ネイサン・チェンが出した世界記録の合計323.42点との、その差は何でしょうか?

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絶対王者羽生結弦の演技

Origin』の荘厳な調べに合わせ、冒頭の4回転ループを鮮やかに決めました。

その後、4回転サルコウでは着氷が乱れたが踏ん張り、後半の4回転トウループ、4回転トウループ-トリプルアクセルも成功しました。

サルコウでの減点を除けば、あとは完璧に決めて演技が終了しました。

リンクの中央で右の拳を握った羽生結弦選手は、まさに気高く絶対王者の姿に見えました。

曲が終わった瞬間、場内はスタンディングオベーションで羽生選手を称え、プーさんの嵐です。そのフリーの得点は206.10。

ショートとあわせて300.97となり、ルール変更後の世界最高点を塗り替えるハイスコアでした。

しかし、羽生選手は銀メダルで、世界最高得点323.42点を叩き出した「4回転の申し子」ネイサン・チェン選手との間には22.45点の差がありました。

王者ネイサン・チェンの演技

4回転の申し子」とも言うべきネイサン・チェン選手は、羽生選手の完璧に近い演技の後にも同ぜずミスのない圧巻の演技を見せます。

冒頭の4回転ルッツを冷静に、完璧に成功させ、GOEでも4.76点の大きな加点を得ます。

続く4回転フリップ、4回転トウループでも加点していきます。

以前は苦手としていたトリプルアクセル、4回転トウループ-トリプルトウループも成功し、4本の4回転ジャンプをすべて決めるなどした演技への得点は216.02点、合計323.42点。

まさに非の打ち所のない演技で、羽生選手を破り連覇を果たました。

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羽生結弦選手とネイサン・チェンの演技の差とは?

表彰式後の会見で羽生は終始苦笑いを浮かべていました。

今回は僕がショート、フリーともにノーミスをしても、たぶん勝てなかったと思う」と振り返っています。

両者とも、お互いに大きなミスもない圧巻の演技でしたが思ったより大きな差が出ました。

その差は何なのでしょうか?

「納得のいく採点ではなかったかもしれません。完璧に近い演技をして、20点以上も差がついたことに疑問を感じた関係者は少なからずいましたから」

スポーツ紙記者

羽生選手はショートプログラムでのミスもあり、フリープログラム前に、チェンと12点以上の大差がついていました。

しかし、『4回転に加え、チェンに勝る表現力などで逆転は不可能ではない』と我々ファンは信じていました。

そして羽生選手はFPで鬼気迫る圧巻の演技を見せ、気高い絶対王者も満足のポーズでした。

ところが続くチェン選手も圧巻の演技で、なんと羽生選手との合計点の差は、SPよりさらに開く結果となりました。

その理由について

「羽生選手の4回転サルコウには回転不足と着氷ミスがありました。それにジャンプの種類もチェン選手とは“差”があったのです」

元フィギュアスケート選手の渡部絵美さん

その差とは?

フィギュアの点数は大まかにいえば「技術点」と「演技構成点」の2種類です。

ジャンプやステップなどが前者で、表現力といわれるものが後者となりますが、両者は公平にポイントが割り当てられているわけではありません。

4回転の中でも難しいルッツは11.5点ですが、これに出来栄え点などのさまざまな加点があります。実際にチェン選手はFP4回転ルッツで16.26点を叩き出しています。一方、表現力はそこまでの加点はありません。FPで羽生選手は素晴らしい表現力を見せて演技構成点ではチェン選手に勝ったものの、ジャンプで劣り、技術点で大きく水をあけられた。その結果が点差に表れたのです」

スポーツライター

羽生は自らが史上初めて成功させた4回転ループなど3種類の4回転を入れるなど「羽生選手にとって現在のベストを選択していましたが、これでは完璧な演技をしても、点数が高い4回転ルッツなどを組んでいたチェン選手には勝てなかった可能性が高い」

スポーツライター

フィギュアは今、4回転ジャンプの難易度を競う時代に入っているのです。

ユヅルのプログラムは、チェンと比べるとかなり豊かで豪華だ。チェンも細やかな点を向上させてはいるが、実際の演技を見ると差がわかるだろう。(中略)プログラムの演技構成点は、4回転の本数に比例して加点されていくべきではない。それは演技構成点の意義を否定するものだし、技術的な難易度だけで評価してしまうことになる。

イタリアのスポーツメディア『OAスポーツ』の解説者は苦言を呈している。

「とにかく、ハニュウの演技は気高く重厚なものだった。彼のコンディションは良い状態ではなかった。足が4分間に耐えられるかも分からなかったのである。彼は自身の心と向き合い、プライドと闘って、フリーをほぼ完璧に成し遂げたのだ」と語ったといい、60センチ以上の高さを記録した4回転ループなどについて賛辞を並べた。

ユーロスポーツ解説者マッシミリアーノ・アンベーシ氏

羽生は試合後、4回転ルッツをプログラムに戻すことと、4回転アクセルやフリップにも挑戦したいと話していました。

これまで凄まじい執念で栄光を勝ち取ってきた羽生の闘志に、再び火がついたようです。

来年が楽しみですね。

ネイサン・チェン選手の採点表

<演技構成>

4Lz/4F/4F+3T/3A/CCSp/StSq/4T/3Lz+3T/3F+1Eu+3S/ChSq/FCCoSp/CCoSp

羽生結弦選手の採点表

<演技構成>

4Lo/4S/FCCoSp/StSq/3Lo/4T/4T+3A+SEQ/3F+3T/3A+1Eu+3S/ChSq/FCSSp/CCoSp

 

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