三角縁神獣鏡って難しいですね。
三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)読むだけで難しく感じます。
「鹿男あをによし」でも題材になりました卑弥呼の三角縁神獣鏡。
この三角縁神獣鏡が中国製がどうか?を最新機器で分析したことが話題となっていましたので紹介します。
Contents
奈良出土の三角縁神獣鏡は中国製?蛍光X線分析
奈良県天理市の黒塚古墳(3世紀後半)から出土した33面の三角縁神獣鏡について、京都市の泉屋博古館(せんおくはっこかん)が大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)で蛍光(けいこう)X線分析したところ、鏡に含まれる銀などの微量元素の割合が、古代中国鏡とほぼ一致することが分かった。橿原考古学研究所が今月刊行した調査報告書「黒塚古墳の研究」で紹介されている。
引用;産経ウエスト
この三角縁神獣鏡は古代中国の魏が邪馬台国の女王卑弥呼(ひみこ)に贈った「銅鏡百枚」とする説があります。
今回の分析は鏡の生産場所を特定できれば説の裏づけになり、邪馬台国の卑弥呼を解明する糸口になるかもしれません。
一歩一歩、推測と最新知識を駆使して過去を解明していく・・・
過去と言えども、最新分野なのです。
ロマンですね。素敵です。しびれます。
引用記事を参考に紹介していきます。
三角縁神獣鏡(さんかくえんしんじゅうきょう)
学術的に言うと古代中国の神話に登場する神仙や霊獣を浮彫風に表現した鏡であり、鏡縁を厚くしたため縁の断面が三角形になっています。
『魏志倭人伝』には,景初3年,魏(ぎ)朝貢した邪馬台国の女王卑弥呼(ひみこ)に銅鏡 100面を下賜した記事があり、魏の皇帝が卑弥呼に授けた鏡とする説が有力です。
しかし、日本の古墳(京都府の椿井大塚山古墳からは 33面以上、奈良県天理市にある黒塚古墳からも 33面)より出土しているが、中国や朝鮮半島では出土例がありません。
そのため中国の技術者が日本で作ったとする説もあります。
黒塚古墳(奈良県天理市)の33面の三角縁神獣鏡は平成9~10年にかけて実施された発掘調査で、竪穴式石室(長さ8・2メートル、幅1・2メートル)から出土したものです。
一つの古墳からの出土数としては全国最多で、文様や銘文から全て中国から輸入された舶載鏡(はくさいきょう)と考えられています。
出典;産経ウエスト
分析の意義
このように三角縁神獣鏡は古代中国の魏が邪馬台国の女王卑弥呼(ひみこ)に贈った「銅鏡百枚」とする説もがありますが、中国国内では確認されていないので中国製か国産かをめぐって長く議論が続いています。
また、邪馬台国の場所や卑弥呼の存在についても解明できていません。
今回の調査結果により黒塚古墳の三角縁神獣鏡が中国で製作された可能性が高ままり、魏志倭人伝の一節が証明できれば、邪馬台国の実証にもつながっていきます。
興味深いですね。
京都市の泉屋博古館(せんおくはっこかん)はスプリング8の強力な放射光を使い、蛍光X線分析を実施しました。
鏡に含まれる錫(すず)、銀(ぎん)、アンチモンの3元素の組成数値を調べてグラフ化したところ、古代中国の前漢後期~三国時代(紀元前1世紀~3世紀)の鏡の組成数値の分布エリアに収まることが判明しました。
つまり黒塚古墳の三角縁神獣鏡と前漢後期~三国時代の中国鏡が、同じ原材料で作られている可能性が高まったということになります。
泉屋博古館は過去にも、久津川車塚古墳(京都府城陽市)出土の三角縁神獣鏡などをスプリング8で蛍光X線分析し、同様の結果を得ています。
大型放射光施設「スプリング8」
出典;国立研究開発法人理化学研究所(理研)
大型放射光施設SPring-8は、太陽の100億倍もの明るさに達する「放射光」という光を使って、物質の原子・分子レベルでの形や機能を調べる事ができる研究施設です。
SPring-8は、兵庫県の西部、播磨科学公園都市にあり、直径約500mの大きな円形をしています。
この大きな施設の運転は、施設の所有者である国立研究開発法人理化学研究所(理研)と利用者への様々な支援を担当する公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)により行われています(平成29年7月現在)。
三角縁神獣鏡については諸説があるため、従来から銅・錫・鉛などの主成分を中心とした科学分析が多く行われてきました。
今回はさらに踏み込んだ検討を行うためSPring-8の強力な放射光を利用した蛍光X線による成分分析を実施しました。
ここでは主成分そのものではなく、鏡主成分に含まれる微量成分に注目し、その高精度測定を通して製作年代および製作地の違いによる微量成分の違いを検討しながら、それぞれの原材料特性を分析、解明しました。
試料・実験ならびにデータ解析方法
実験に用いた試料は、主に財団法人泉屋博古館が収蔵する鏡で、戦国時代から三国時代にかけての中国鏡、紀元3・4世紀の日本古墳時代の
現存する古代の青銅鏡表面は錆で覆われているため、錆の影響を受けずに試料内部の成分を測定する必要があります。
そこで、試料内部に深く入りこむ高エネルギーの入射X線を用いて、地金部分の微量重元素アンチモン(Sb)と銀(Ag)にターゲットを絞りました。
まとめ
古代において鏡は単なる姿見として自分の顔を映すだけでなく、人の心をも映し出し、さらには邪悪なものの正体を暴く呪術力を具えると考えられていました。
三角縁神獣鏡は古代中国の魏が邪馬台国の女王卑弥呼(ひみこ)に贈った「銅鏡百枚」とする説や中国の技術者が日本で作ったとする説など、諸説あります。
科学的な分析をすることにより様々な情報をえることができるようになりました。
その結果により生産場所や時代が推測できるようになります。
今回の分析結果により、三角縁神獣鏡から『魏志倭人伝』を実証し、邪馬台国の卑弥呼の謎を解明できるかもしれません。
中国青銅器を専門とする泉屋博古館の広川守副館長は「黒塚古墳の鏡は材料的には中国鏡と考えられる。どこで作られたのかは分からないが、中国で製作された可能性もある」としている。